パーフェクト・インパーフェクト
思わず、息をのんだ。
オレンジからダークブルーへ変わっていくグラデーションの真ん中に、素足を投げうつ、わたしのうしろ姿。
潮風に舞い上がるのは、ほどいたばかりの、ウェーブのロングヘア。
ブカブカのウィンドブレーカーはだらしないのに、それすらまるで用意された衣装かのように、背景と溶けこんでいて。
なかなか、こんな写真は撮れないよ。
「メッチャクチャきれい……!!」
声を上げてしまったわたしに、彼は優しくニコッと笑った。
「でしょ」
「カメラ好きなんですか?」
「コレでしか撮らない程度だよ」
右手に収まっているスマホが目の前でゆらゆらと揺れる。
最新でもなんでもない、むしろ3年くらい前の古い機種。
画面をもういちど見ると、なにか特殊なアプリを使っているわけでもなさそうだ。
「こんな写真が撮れるなんてスゴイ!」
本心から言ったのに、恐縮したように、困った感じに笑われた。
「これは被写体の良さのおかげじゃないかな」
大人っぽい言い方。
年上って感じがする。
だけどぜんぜん社交辞令には聞こえないのが不思議だった。
こういうしゃべり方のできる人って、意外とけっこういないものだ。
「そりゃ、いちおう、モデルなんで……」
さっきいけちゃんにさんざんこき下ろされたから、気恥ずかしくて、もごもごしてしまう。