パーフェクト・インパーフェクト
ただの中学生のために、わざわざゲンさんお抱えのヘアメイクさんがお化粧してくれて、ママがまじめにスタイリングしてくれて。
数分後、モニターに映しだされた数枚の写真を見て、絶句した。
これが本当に自分なのかと何度も目をこすって確認したら、慣れないアイシャドウとマスカラが崩れて酷い顔になった。
こんなのは魔法に違いない、と本気で思った。
わたしはある日突然、魔法の力で、ブスではなくなったんだ。
「そいつも杏鈴の昔の写真見たらビックリするんじゃね?」
「ぜったいによけいなことしないで」
自分でも驚くほどコワイ声が出た。
めずらしく雪夜が目を見張っている。
「雪夜がわたしを嫌いなのは勝手だけど……取り返しがつかなくなるようなことしたら、末代まで祟ってやるから!」
「……ウザ」
怒った顔がいきなり興味をなくしたような表情に変わり、ぷいっとテレビのほうを向く。
「おまえが誰とどうなろうとべつにどうでもいーわ」
「なん……」
「せいぜい元のブスがバレないように頑張れば。まあどれだけ見た目を取り繕ったところで性格はどうにもなんねーけど」
こ、この野郎……!
そろそろおもいきりどついてやりたい。
性格に関してはこの世で雪夜にだけは言われたくないってーの!