パーフェクト・インパーフェクト
すっぴんでリビングに戻ったわたしに彼は「ほかほかだな」とおかしな感想を残した。
人のこと肉まんみたいに言わないでほしい。
そしてやはり、湯上がりの彼は相変わらず破壊力バツグンだった。
コンタクトバージョンももちろん大好きだけど、似合いすぎている眼鏡バージョンが、実はもっと好きなの。
それになんだかオフの姿っぽくて特別感がある。
ドライヤーを片手にソファに座った彼は、こないだと同じようにわたしの髪をブーンと乾かし始めた。
でもきょうはわたしが正面から抱きついているからかなりやりづらそうだ。
自分がこんなに好きな人にひっついていたいタイプだとは思わなかった。
だってなんか、すごくいいにおいがするんだもん。
引っぱられてしまう。
ふたり分の髪を乾かし終えると、彼は左手をぐーんと伸ばしてベースを手に取った。
わたしがむぎゅっとしているせいで身動きが取れないんだってことに気づき、あわてて離れる。
「もうくっつかないの?」
そしたらいじわるな顔でそう言われた。
こういうところ、あると、思います。
「だってベースさわるかなって……」
「いいよ、おいで」
ふいうちの一言で心臓をひと突きするのはやめてほしいよ。