パーフェクト・インパーフェクト
「仲……あんまり、よくない?」
「仲が悪いというか、一方的に嫌われてるだけかな。俺はべつに好きでも嫌いでもないけど、申し訳ないことをしたとは思ってる」
ぜんぜん話が見えない。
思わず体ごとふり返ると、彼はとても困ったように笑った。
「18のとき、妹を含め家族とは縁を切ったんだ」
本当にびっくりした。
冗談だと思った。
でも、彼は、こういうタチの悪いジョークを言うような人じゃない。
「たまに自分でも自分の冷酷さに驚くことがあるよ」
その顔は、さみしいとも、切ないとも、形容しがたくて。
とても不思議な顔だった。
覗きこみたいのにぜんぜん見えないのが、また不思議。
「まあ俺が縁を切ったというよりは、勘当された、のほうが正しいのかな。でも満場一致の判断で、俺としても異論はなかったし、むしろよけいな荷物が減って気楽だとも思って。父親も、俺も、特技が“取捨選択”だから。そういうところだけは嫌になるほどよく似てた」
「でも、なんで、だって……家族なのに」
「杏鈴ちゃんの家族はきっと仲が良いんだな」
うちは、パパとママとわたしの3人家族。
双方のおじいちゃんとおばあちゃんとも定期的に会うし、はとこの雪夜のところとも同じマンションに住んじゃうくらいの間柄だ。
血の繋がり……家族って、当たり前にそういうものだと思っていた。