パーフェクト・インパーフェクト


「けっこうおもしろい理論もってるね」

「……なんか学校のセンセーみたい、です」

「ところでいつまで敬語使うの?」

「えっ」

「普通にしゃべってよ。俺が“センセー”みたいになるだろ」


思わず体を離してしまった。

「ん?」と、いじわるに口角が上がる。


こういうところは、ある!


「だって……わたしのほうが6つも年下だし」

「“恋人”より“年の差”のほうが効力が強いんだ」


また笑う。

また、子ども扱いされている。


「と、年の差をタテにしてくるのはいつもそっちのくせに!」


反撃に出たわたしに、彼が少し目を見張った。

それでも目の奥のほうは楽しんでいるように見えるから本当に嫌だよ。

これが大人というやつなのか。


「こないだお泊まりしたときもなんにもしてこなかったくせに!」

「だからそんなに、なにをしてほしいんだよ」

「な!? わ、わか、わかってるくせにずる……」

「わかんないから教えて」


この人さいてーだ。
さいてーすぎる。

やっぱり優しいってのは撤回!


「うそ」


瞬間、ひょいっと体が宙に浮いた。

いきなりの無重力にどうにもできないでいると、わたしはそのまま彼に担がれ、隣のベッドルームに運ばれたのだった。


すぐにマットの上にどさりと落とされる。

いや、確実にもっと丁寧な動作だったけど。

でも落とされたって思ったの。

そしたらわたしの上に彼が降ってきたの。

そう思ったの。


これは俗に言う、押し倒されている、で、間違いないのでは……?

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