パーフェクト・インパーフェクト


「沖縄」

「え? 沖縄?」


ふと頭に浮かんだ単語を口にしたら、隣で寝そべっていた体が驚いたように上半身を起こした。


「こないだ水着の撮影してね、リアと沖縄いきたいねーってしゃべってたの」

「そうなんだ、なるほどね」


完全に思いつきだったことを少し笑ったあとで、まじめに取りあってくれるのが彼という人だよ。


「でもたぶん6月の沖縄は気候がよくないよ。海は入れないかも。入れたとしても、そんなに絶好のロケーションじゃないかも」

「えー。そうなんだ……」


たしかに、本州も梅雨明けはいつも7月中旬以降だもんね。

思いつきには違いないけど、けっこう名案かと思ったから、残念だ。


「だから、もう少し先だけど、沖縄は夏に行こうか」

「えっ!」

「予定合わせて、ちょっと長めに旅行するのもいいんじゃないかな」

「いいの!?」

「うん、もちろん」


だいすきー!と抱きつくと、ヨシヨシ頭を撫でられた。


わたしってなんて簡単な女なの。

彼って、なんて最高の男なの。


水着を新調しなくちゃ。

何着くらい用意していけば、不足がないかな?

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