パーフェクト・インパーフェクト
「最初ね……遊ばれてると思ったよ」
「不倫されてると思ってたんだもんな」
「もう! それはほんとに掘り返さないで!」
「俺、そんなに所帯じみてるかな。言われたときけっこうショックだったんだけど」
「う……ごめんなさい。正直ちょー疑ってた」
くすくす、耳をやさしくくすぐっていく音。
彼の笑い方が好き。
どんな笑い方でも好き。
どんなのでも、眉だけは決まって少し困ったように、ハの字になるの。
「でも俺は、たぶんこの子と付き合うんだろうなって、最初に会ったときから思ってた」
それは世に聞く、ビビっとナンチャラ、というやつだな。
でも、この子を好きになる、じゃなく、この子とつきあう、なのが、罪なところだね。
「……わたしもね。もしかしたらこの人のこと好きになるかもって、予感してたよ」
彼の目、わたしを見つめながら優しく揺れて、きゅっと細くなった。
「誕生日おめでとう」
この人のこと好きになる、
もっともっと好きになる、
って。
ずっと、はじめて会った瞬間と、同じ気持ちでいる。
どんどん、好きになっていくんだよ。
気持ちが風船みたいにふくらんでいくの。
だからたまに怖くなるんだ。
ふくらんで、ふくらんで、ふくらみきって、
――いつか破裂したらどうしよう、と。