パーフェクト・インパーフェクト
「――……、だいすき……」
はじめての熱を感じながら、ぎゅうっと首に抱きつく。
答えるようにそっと髪を撫でてくれた。
とても近い場所、いつもより短い間隔で繰り返される呼吸が、どうにもうれしい。
そのままきゅっと、抱きしめられる。
どこか荒い息を飲みこんだくちびるが、静かに耳元に寄ってきた。
「――俺も」
幻聴かと、思った。
「好きだよ」
もう、そのまま、首にしがみついたまま、いっぱい、いっぱい、泣いた。
「泣かないで。頑張ったね」
「ううん、これはね、これは、ちがうの……」
彼はもしかしたら、自覚していなかったのかもしれない。
ずっとわたしに言葉を伝えてくれていなかったこと、ひょっとしたら、彼自身も知らなかったのかもしれない。
わざといじわるをされていたわけじゃなくて。
わたしに、気持ちがなかったわけじゃなくて。
ただ単に、彼は、愛情を言葉に換えて伝えるのがへたくそな人なのかもしれない。
器用に見えて、本当は不器用で、どうしようもない人なのかもしれない。