パーフェクト・インパーフェクト
✧︎*。


「そういや、おニューのパンツはどうだった?」


自分の卒業パーティー(という名の飲み会)だというのにわざわざ寄ってきたかと思えば、いきなりこんな下世話トークをふっかけてくる。


やっぱり、リアはリアだ。

きっとこれからも永遠にこんな調子なんだろう。


そう。
きょうで、きっぱりとファッションモデルを卒業してしまっても。


「皆川さん興奮してくれた?」

「なにそれ、とても友達の彼氏に対する言葉だとは思えないんですけど……」

「だってあのモスグリーンのレース、自分がハジメテの彼氏とハジメテの夜を迎えるときより真剣に選んだよ!」

「ちょっと、なんの話!」


フヒヒと笑う顔はヨーロッパの少女のようにあどけなくてきれいなのに、内容を聞いたらえげつないんだから、リアに夢見てるファンのコたちや業界のメンズたちに置き土産として暴露してやりたいよ。


それでも、パンツを真剣に選んでくれるような友人にはこの先の人生でぜったい出会えないと思う。

これから行く道が違っていたとしても、ずっと友達でいられたらいいな。


そうだ、沖縄用の水着もリアに見繕ってもらおうかな?

それでなくとも、ふたりでキャッキャしながらショッピングするのって、本当に楽しいの。

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