パーフェクト・インパーフェクト


「……なんなの……」


なにかあったらすぐにリアに相談した。

悩みごとがあったらリアに聞いてもらったし、うれしいことがあったらリアにいちばんに報告した。


なのにリアは、わたしになんにも言わないで、アメリカに行くことを決めてしまったんだね。

リアにとってわたしは、その程度の存在だったんだ。



そのあとのことはあまり覚えていない。

とにかくいっぱいお酒を頼んで、グラスをひっきりなしに空けては、途切れないように次の一杯を確保していたと思う。


せっかくのリアの卒業パーティーで、怒りたくなかったし、泣きたくなかったから。


お酒ってすごいよ。
なんかよくわからないけど超笑っていられるの。


お開きになる直前、最後にリアがみんなの前でなにか言っていた。

カメラマンさん、ヘアメイクさん、スタイリストさん、雑誌編集部さん、マネちゃんさん、みんなへのありがとうと、旅立ちにむけての希望に満ちた言葉。


てきとうに拍手して、てきとうに盛り上げながら、てきとうに乗り切った。



気づいたら、タクシーに乗って、わたしは自分の家じゃなく、彼の家の前にやって来ていた。

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