パーフェクト・インパーフェクト
「まだ10代のころ、上京してきたときに一緒に持ってきて、忘れたまま置いてたんだな」
いつも怖いくらい上手にするくせに、こういうときは、いきなり嘘がへたくそになるんだね。
「嫌なもの見せてごめん。捨てるよ」
彼の手が箱を奪っていく。
簡単に開けて、宝物を取り出すと、丸めてゴミ箱に放った。
本当に簡単な動作だった。
ぞっとした。
「……どうして……?」
砕けたダイヤモンドが、フローリングにとても小さな水たまりを作る。
「……やだ、やめて」
思わず駆け寄ってゴミ箱を漁る。
わたしが泣きながら写真と手紙と万年筆を拾い上げるのを、彼は隣で悲しそうに見つめていた。
そんな顔をしてしまうほどなのに、
どうして?
「わたしが……大切にする。俊明さんが捨てるって言うなら、わたしがもらう。だって好きな人の大事な思い出だもん。わたしが大切にするからっ、がんばって守るからっ、だから……捨てないで」
ぎゅうっと抱きしめて、うずくまって、泣いた。
いつのまにか彼もわたしを抱きしめていた。
「勝手に見てごめんなさい、傷つけるようなこと言ってごめんなさい、ごめんなさい、ゆるして、わたしが大切にするから……」
アルコールと眠気のせいで、これが夢なのか現実なのかさえも、もうわからない。
あまり呂律の回らない口でうわごとのように言葉をくり返すわたしに、彼は最後までなにも答えてくれなかった。
ただ、そっと、ずっと、抱きしめてくれていたように思う。
それが、愛情なのか、なだめているだけなのか、なんなのか、見当もつかないけれど。