パーフェクト・インパーフェクト





―― 皆川 俊明 様



これで最後にします。

来年、武田さんと結婚することに決めました。


私が望んだことではありません。
父と母が望んだことです。

そして、あなたが望んだことです。


けれども私も、これが最良の選択だと思っています。

あなたの未来のために。
私の未来のために。


本当に、心から、好きでした。


これ以上好きになれる人に、きっと生涯、出会えないと思います。

私は、これからも心のどこかであなたのことを想い続けながら、生きてゆくのだと思います。


だから、もう会いません。
すべての連絡も絶ちます。


返事は必要ありません。

かわりに、たくさんの手紙を書き続けてきたこの万年筆を、持っていていただけませんか。


これが手元にあるときっと会いたくなるから。

またあなたに手紙を書きたくなるから。


最後まで卑怯で、臆病な私を、どうか忘れてください。


すべてを捨てる勇気がなくてごめんなさい。

ずっと、優しさに甘えていてごめんなさい。


それでも永遠に愛していることを、許してください。



―― 篠岡 衣美梨




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