パーフェクト・インパーフェクト


あんまり苦しくて、しばらくのあいだ、うまく呼吸ができなかった。


「意味わかんない……」


何度も何度も読み返して、ちっぽけな脳ミソをフル回転して理解しようとしても、ぜんぜん意味がわからなかった。


こんなに、好きだと、愛しているとくり返し書いているのに、どうしてほかの誰かと結婚するの。

どうしてそれを『最良の選択』だなんていうの。


彼も、彼女を愛していたんでしょう。

“本気で好きになった子”だったんでしょう?


どうしてこんなにも謝るわけ。

好きあっていたんじゃ、ないの?


「……意味わかんないっ……」


なぜだかわからないけど、ものすごく腹が立っていた。


怒りながら泣いた。

泣きながら残りのフレンチトーストをわしわし食べた。


こんなに腹が立っているのに、しっかりおいしくて、もっと腹が立つ。


頭を冷やそうと最大限の努力をした。

洗い物をして、もういちど顔を洗って、洗濯物をとりこんで、畳んで、ベッドメイクをして。


だけどぜんぜんおさまらない。


ぜったい、わたしがしゃしゃり出ていい案件じゃない。

わたしなんかぽっと出の、ただの新規の女だよ。

できることも、していいことも、なにひとつないよ。


だけど、いま彼の隣にいるわたしにしかできないことも、あると思うんだ。


陽が落ちきったころ、すっぴんのまま彼の家を飛び出した。

服装も、Tシャツにヨガパンツで史上最高にダサかったけど、そんなのかまっていられない。


タクシーに飛び乗って向かう先は、ひとつしか思いつかなかった。

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