パーフェクト・インパーフェクト


留守だったらどうしようとか、
迷惑になったらどうしようとか、

そんないまさらのような考えが浮かんできたのが、ドアを目の前にしてからだった。


もう半分くらいヤケクソでインターホンを押す。

すっぴん(しかも超むくんでいると思う)のわたしを見て、季沙さんは丸い目をもっとまんまるにして驚いた。


わけは、なにも聞かれなかった。

とりあえず入って、とドアの内側に迎え入れてくれる。

瀬名さんがこの人を愛した理由が、なんとなくわかってしまう。


リビングのソファに通されてすぐ、あったかいココアと手作りのクッキーが出てきた。

じっと見ていると、季沙さんが隣に座って、さするように背中を撫でてくれた。


「人が来ると癖で出しちゃうだけだから、無理して食べなくてもいいの、ごめんね」

「あ……の、すみません、急に来たりして……」

「ぜんぜん大丈夫だよ。それにしてもバレンタインのとき来たきりなのによく場所わかったね! わたしなんて100回行ったところでも迷っちゃうことがあるよ」

「あ、えと、前にメッセージで住所送ってくれたのが残ってたので」


あーそっかあ、なるほどねえ、
なんて、うなずきながら本気で感心している。

相変わらずちょっと天然ぽいところがある。

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