パーフェクト・インパーフェクト
ふいに、テーブルの上に置いていたスマホがピロンと鳴った。
季沙さんのスマホだ。
瀬名さんからのメッセージで、『今から帰る』という報告みたい。
結婚して、いっしょに住んでいるのに、きちんと報告してくれるんだ。
それともこれは、結婚しているからこそのことなのかな。
平たい機械を手に取った季沙さんが、なにか文字を打ったあとで、はっとしたようにわたしを見た。
「こうちゃん、いまから帰ってくるって! どっかで時間潰してきてもらおっか?」
「え!? そんな、とんでもないです!」
「ほんと? たぶん、いてもそんなに害はない人だと思うけど……」
害、って。
旦那さんに対してなんという物言いをするのですか。
「と、いうか……むしろ瀬名さんにも聞きたいことがあるので。もし迷惑じゃなければ、帰ってきてほしい、です」
季沙さんはわたしの言葉を咀嚼するようにうなずくと、わかったよと、やはりなにも聞かずに快諾してくれた。
「ね、よかったらいっしょにゴハン食べない? きょう冷しゃぶなんだけど、ちょっと多めにお肉湯がいちゃったの」
わたしがもし男に生まれていたら季沙さんと結婚したかった。
瀬名さんがいるから、ふられちゃうだろうけど。