パーフェクト・インパーフェクト
完全無欠の冷静さを失うほどの過去を押し殺して、奥深くにしまいこんで、彼はこんなわたしを心から大切にしてくれている。
すごくうれしい。
いつも、すごく幸せ。
だから、彼のためにわたしにできることがあるなら、なんだってするよ。
囚われた場所から彼を開放する魔法、わたしだけが持っているなら、その呪文を探しにいくよ。
「まだ、なにも終わってないです。お願いします。篠岡衣美梨さんに会わせていただけませんか」
頭を下げても季沙さんはなかなか首を縦に振ってくれなかった。
「衣美梨ちゃんに会って、杏鈴ちゃんはどうするつもりなの?」
「……わかりません」
未来は不確かだから、どうするとか、わからない。
なにも決めていない。
「ただ、話をしてみたいです。きっと彼女も同じだけ苦しんできたと思うから」
過去へ旅することが正解なのか、不正解なのかさえ、本当はわからない。
だけどわたしは完璧な正解が欲しいわけじゃないの。
間違えても、泣いても、傷ついても、傷つけても。
ぜんぶが前に進む方法があるなら、それを探すことを、あきらめたくないんだ。