パーフェクト・インパーフェクト
✧︎*。


冷しゃぶを食べたあと、車でウチまで送ってくれた瀬名さんから、釘を刺された。


いまたしかに俊明さんがわたしを大切にしてくれていること、絶対に忘れないでおいてほしい、と。

そして、ありがとう、とも。


なんのありがとうなのかぜんぜんわからないのに、その言葉を聞いたらまた泣いてしまいそうになった。

助手席に座っていた季沙さんは、たぶん、静かに泣いていた。



その後、衣美梨さんはわたしと会うことを承諾してくれた。

そのうえ、専業主婦をしているという彼女のほうが、わざわざ地元から新幹線に乗って都内まで出てきてくれた。


待ち合わせは、都内の高級ホテルのなかにあるラウンジで。


優しい季沙さんは同行しようかと申し出てくれたけれど、気持ちだけ受け取って、断った。

どうしても、ふたりで話がしたかった。


こちらから呼び出したので待つのがスジかと思い、15分は早めに到着したのに、それらしい人がすでにお店の前で待っていたので面食らった。


そういえば彼と待ち合わせをするときも、どれだけ早めに行っても、わたしのほうがいつも遅い。

こんな些細なことに、ふたりの歴史がほんの少しだけ見えた気になってしまう。

< 318 / 386 >

この作品をシェア

pagetop