パーフェクト・インパーフェクト
アフタヌーンティーセットを、わたしのぶんも、彼女はとてもスマートに注文してくれた。
苦手なものはないか、アレルギーはないか、事前にしっかり、かつさりげなく聞いたうえで。
その抜かりなさも、丁寧なのに聡明な語り口調も、すごく身に覚えがあって、めまいがした。
この人はかつて、たしかに彼の隣にいたことがあったんだ。
彼女のなか、彼の片鱗がそこかしこに散らばっているのが、目を凝らさなくともよく見える。
「あの……きょうは、わざわざ来ていただいてありがとうございました」
座ったまま深々と頭を下げると、いいえ、とやわらかい声。
目を細めて笑う顔が、女神のように優しかった。
「こちらこそ、こんな方とお会いできて光栄です。上月さん、いつもご活躍を拝見してますから。テレビに出演されてるのもよく見かけますし」
「あ……ありがとう、ございます。まだまだ未熟なので恥ずかしいですんですけど……」
「そんな! こんなに素敵な女の子がいるんだなあって、会ってみてさらに痛感しているところです」
BGMのクラシックピアノがこんなにもしっくりくる女性に出会ったことがないよ。
彼女はグラスの水を信じられないほど品のある動作でひと口飲むと、音もなくテーブルに置いた。
そして、少し、目を伏せる。
「本当に、よく知ってる芸能人の方だったので驚きました。……彼と、おつきあいしてるんですね」