パーフェクト・インパーフェクト


「そう思うなら、きちんとお父さんと仲直りしなさい」

「……そうだな。善処する」


目を伏せて小さく笑った。

同じようにそうしたお母さんと、彼は本当によく似ていると思った。


なんだかわたしだけが泣きそうだ。

誤魔化すように一生懸命そうめんをすすった。

おいしそうに食べてくれるのね、
とお母さんに微笑まれて、恥ずかしくて、消えたい。


「ところでね、ほんとにどうして、急に帰ってこようと思ったの? なんとなくでも、そう思い立つきっかけがきっとあったんでしょう」


昼食を終え、今度は温かい緑茶を出してくれながら、お母さんが思い出したように訊ねた。


「……この子に、触発されて」


ぽこんと頭にぬくもりが乗っかった。
彼の大きな手。

この子、と身内みたいに言ってもらえたことが、なんだかわけもなくうれしい。


「思い出を捨てないでって泣かれて、ああ捨てらんないんだよなって、自分でもはじめて気づいたんだ」


お母さんは、わかったような、わからないような、だけど、とてもわかったという顔をして、うなずいた。


胸がじんと震える。

彼の弾く楽器の弦みたいに、震えて、音が鳴る。


大好きの音。


「そう、それで、結婚するの?」

「――はっ?」


声を上げてしまったのはわたしのほうだ。

あわてて口を塞ぐ。


ハはない、
ハってなんなの、ハって。

せめて「え」にするべきだった。

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