パーフェクト・インパーフェクト
彼が空気をくすぐるように笑った。
「まだ20歳になりたての子だよ。仕事もものすごく頑張ってる真っ只中だと思うし」
それは、やんわりと否定しているということでいいのかな。
「まあ、いずれそうなればいいなと思ってるけど、俺は」
すねたい気持ちでお茶を口に含んだところで、ふいにそんなことを言われて、勢い余って喉を火傷してしまうかと思った。
熱さを放出するために咳をくり返すわたしを、優しい横顔が見下ろしてくる。
そんな目で見られたらトキメキに殺されてしまう。
どうにも、揺らいでしまう。
「まー! こんなにきれいで素敵な子、そんな悠長なこと言ってうかうかしてるあいだに、どこかへ行っちゃうわよ」
「まあそれは、俺より彼女を幸せにしてくれる誰かのところなら」
「バカね。そこは『誰にもやらない』って言うのが最適解でしょうに。ねえ? 女の子ならそう言ってほしいわよねえ」
たしかに、そうだよ。
たまには、なにがなんでも離さねえ、みたいな、オレサマじみたことを言われてみたいよ。
彼がそう言うのを想像してみてもぜんぜんしっくりこなくて笑っちゃうけど。
「……はい。でもわたしは、こういう優しさの使い方をする俊明さんが、とっても好きです」
あれ。
なに、お母さんにむかって告白しているんだろ。
わたしってほんとに恥ずかしいやつだな。
だけどお母さんはそっと微笑んでくれた。
まさに母親というふうな顔で、心の真ん中があったかくなる。