パーフェクト・インパーフェクト
おもいきり玄関のドアが開いたのは、その直後のことだ。
ガチャン、バタン、ドタドタ、
と、たて続けに聞こえて、体をふり向かせたときにはもう、新しく現れた人影はすぐ傍までやって来ていた。
いきなりバチンと大きな音が鳴る。
目がチカチカした。
彼が、ものすごい勢いで引っぱたかれていた。
「――お兄ちゃんのばかっ」
きっと、茉里子さん、で間違いないと思う。
もうすでにぐちゃぐちゃに頬を涙で濡らしている妹は、兄をまっすぐにらみつけた。
「……茉里子、ごめん」
「許さない、ぜったい許さないっ、お兄ちゃんのこと世界でいちばん大っ嫌い!」
妹には一方的に嫌われてるんだって、お正月に彼は言っていたけど。
こんな温度のこもった目を向ける妹は、
会っただけでぼろぼろに泣いてしまう妹は、
兄のこと、ぜんぜん嫌っているようには見えないよ。
「……もう二度と会えないって思ってた……っ」
茉里子さんはその場で泣き崩れ、それからぎゅっと、彼に抱きついた。
「お兄ちゃん、もう絶対マリの前から消えたりしないで……っ」
ごめんと、兄がくり返す。
引っぱたかれた頬が手形に赤く腫れている。
彼は、何度も茉里子さんの背中をさすりながら、ごめんと、飽きるほどに言った。
彼もまた、妹のことを『好きでも嫌いでもない』なんて語っていたけれど、そんなのは嘘っぱちだったんだ。