パーフェクト・インパーフェクト


手元が狂い、掴みかけていたタンが、レモンの海のなかにもういちど落っこちた。

ハイボールのジョッキを右手に持ったリアが、ひとくち飲もうとしたのをやめて、おそるおそるジョッキを元の位置に戻す。


「アンちゃん……ダメだよ、ちょっとわかりやすすぎるよ」

「ちが……」

「もしや、“あまいたまごやき”?」

「ばっかじゃないのっ」

「うっそー! ほんとなの? ちょっと、誰? ダレダレ?」

「こらあ! ここ、パブリックだからね!」


すでにもうけっこう酔っぱらっていやがる。


リアは今年の5月、ハタチになったばかりだというのに、待ってましたとばかりにバースデー当日にアルコールを解禁し、それからというものガブガブお酒を飲んでいる。


絶対いままでも隠れて飲んでいたんだと思って問い詰めたことがあるけど、ほんとにそういうことはしていないって。

たぶんヨーロッパの血だよ、と言われたら、妙に納得してしまった。


「ほんとにそういうんじゃないよ。ただフォローして最初に挨拶したやつが、ずーっとダラダラ続いてるだけで……」

「はいはい、言い訳はいいから。誰なの? それともひとりじゃなくて、全員と? アンちゃんヤリ手!」

「あーもー!」


しらふのまま酔っぱらいの相手をするのって本当に疲れる!

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