パーフェクト・インパーフェクト
仲直り、する必要も、する理由もないと、なんでもなさそうな顔で言った彼を思い出した。
嘘っぱちの意地っ張りは、ぜったいにお父さんゆずりだね。
きっと完全な修復をするにはかなり時間がかかるだろう。
完全な修復を目指すというほうが、もしかしたら無謀なのかもしれない。
だけど、歩み寄っていける。
元通りとはいかなくとも、前とは違う、新しい形の関係を作っていける。
だって似たものどうしだもん。
きっと、見えないほどに深い場所で、お互いをとてもわかりあっている。
「また帰ってくるよ」
玄関先でそう告げた彼に、お母さんが心から嬉しそうに頬をほころばせた。
そのうしろで茉里子さんがなにか思い出したようにはっとして、いちど家の中に引っこむと、黒い大きななにかを抱えてまた戻ってきた。
「お兄ちゃん、これっ」
なにかのケースだった。
なにかによく似た形――
ひと目でわかった、
彼の部屋にある楽器をかたどっているんだって。