パーフェクト・インパーフェクト


「お兄ちゃんが高校生のとき、お父さんが『捨てる』って取り上げた、初代のコ」


ぐしゅりと、彼の顔がおもいきりゆがんだ。

だけど泣かない。

大人の男は、女だらけの場所で、簡単に涙を見せたりしないんだ。


「……もう、とっくの昔に捨てたのかと」

「あのお父さんがホイホイこんなものを捨てるわけないでしょ。ねえお兄ちゃん、絶対また帰ってきてよ。お父さんとの仲直り、まだ完全には終わってないんだからね」


破ったらただでは済まされなさそうな約束を、兄は妹と交わした。


彼は、次、いつこの場所に帰ってくるつもりなのだろう。

お盆くらいかな。
それだともう来月だし、少し時間を置いて、やっぱり年末年始かな。


まだ見ぬ未来にあれこれ想像をめぐらせながら、お母さんと茉里子さんに別れの挨拶をする。


とても素敵なご家族だったな。

会えて、本当に、本当に、よかった。

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