パーフェクト・インパーフェクト
「さては、結婚の挨拶か?」
どこか茶化すような声色。
視線を向けられてぎくりとする。
あわてて自己紹介すると、ものすごく驚かれた。
「上月杏鈴ちゃんってあのモデルの?」
「はい、いちおう……職業は、そうです」
「めちゃめちゃべっぴんなコだと思ったらそういうことかよ! 名前は知ってるよ。でもワリィ、もう俺オッサンだからパッと見ただけで気づけなかったワ」
オッサンと言うにはまだ若いような見た目をしている。
けっこう、年齢不詳な感じ。
もう40近いと言われても、まだ20代だと言われても、納得してしまうかも。
「この人は脇坂さん」
彼が本人に変わり、その人の紹介をしてくれた。
「家出した俺の面倒をずっと見てくれてた恩人。死ぬまで頭が上がらない人」
そういう言い方はヤメロと、脇坂さんは居心地悪そうにひらひらと顔の前で手を振った。
「……もしかしてこの人が、会わせたいって言ってた人?」
「うん、そう。どうしても会ってほしくて」
レジカウンターをはさんで3人、近い場所で顔を合わせると、彼は間髪いれずにわたしのことを恋人だと紹介してくれた。
ぴゅうと、脇坂さんがうれしそうに口笛を鳴らす。
「おまえもデカくなったな」
なんだそれ、とあきれたように、だけどちょっとすねたように返す彼は、とても新鮮だった。