パーフェクト・インパーフェクト
「よかったらアルバム見る? けっこうおもしれえよ」
思いついたようにカウンターの棚を漁りだした脇坂さんに、「え」と声を上げたのは彼のほうだ。
「アルバムなんてあるんですか?」
「みちるが作ってたんだよ。あいつが彰人追いかけて上京したとき、ここに置いてったんだ。これがあれば寂しくないっしょ~とか言って。よけいなお世話だっつの」
みちるさん。
アキさんの奥さんで、燈ちゃんのママ。
あのチャキチャキした美人さんのことも、脇坂さんはとても親しそうにしゃべる。
「あいつああ見えて意外と女っぽいとこあるからな、けっこうきれいに作ってあるよ。俊明も見てけよ」
正方形の、クラフト素材のアルバム。
彼ですらいままで存在を知らなかったというその表紙をめくると、ぺりぺりかわいい音がした。
「わあ……! すごい、ほんとにかわいく作ってある!」
マスキングテープやステッカー、スタンプなんかで彩られたページのなか。
実にたくさんの、様々の瞬間をとらえた、貴重な写真たちが敷き詰められていた。
アキさん、弟の寛人さん、瀬名さん、そして俊明さん。
みんないまより少しずつ幼くて、ザ・学生という雰囲気で、かわいい。
季沙さんやみちるさんもいる。
季沙さんの制服姿は抱きしめたいほどキュートだし、みちるさんはいまよりうんとパンク系って感じだ。
バンドマンが4人で肩を組んで夜道を歩いているうしろ姿だったり、みんなでアイスを食べていたり、瀬名さんが季沙さんの肩にオデコを乗っけて居眠りしていたり、寛人さんが本気でカメラから逃げているところだったり。
文字はあまり添えられていなくて、それがどういう時間だったのか具体的にはわからないけど、
もしかしたら、文字を添えるほど意味を持った時間ですらなかったのかもしれないけど。
でも、なんだかそれが、とても愛おしかった。