パーフェクト・インパーフェクト


このころはもう二度と戻らない。

だからこそ輝かしくて、素晴らしいのだということ、絶対に当時には手を伸ばせないわたしにだから、わかるよ。


無言で、夢中で見入っていた。

体じゅうに膨大な歴史を取りこむのは痛いほどに切なく、言いようのないほど幸福な作業だった。


ああ、衣美梨さんがいるね。

彼女が彼を見つめるまなざしはとても熱くて、彼が彼女を見つめるまなざしはとても優しかった。

ふたりが好きあっているのはわかっていたと、瀬名さんが言っていたけど、本当だね。



たしかに、もう過ぎ去ってしまったことなのには間違いない。


でも、大丈夫だよ。

まだ間に合うよ。


そっくりそのまま、このころの続きとはいかないかもしれないけど。

でも、ふたりの気持ちが10代のかけらをひとつでも残しているのなら、それは決して過ぎ去ってしまったことじゃない。



こんなに大切な光景を、見せてくれてありがとう。

大事な話をたくさん教えてくれてありがとう。


思い出を、分けてくれてありがとう。


大好きだよ。

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