パーフェクト・インパーフェクト
「ふたりで行く予定だった沖縄行きの航空券を、衣美梨さんに渡したよ」
白い長方形の封筒。
受け取れない、と突き返されそうになったけど、どうしても受け取ってほしい、と半ば無理やり渡してきたやつ。
「来週、彼女はたぶん空港に来てくれると思う」
「ほんとに、なにして……」
「ちゃんと会いに行かないと何度も何度もくり返すんだ」
財布からカード型のキーを取り出して、ぐっと胸に押しつけた。
彼の家の合鍵。
もう、わたしには必要のないものだから。
「たとえあなたが衣美梨さんに会いに行かなくて、うわべだけの優しさでわたしを選ぶと言っても、あなたはまた何度も何度も後悔して、何度も何度も苦しい思いをしていくの」
視線はわたしから逸らさないまま、彼の手がそっと合鍵を受け取る。
「わたしは2番目はぜったいに嫌なんだよ」
負けず嫌いはいつからだったかな。
小さいころからそういうところはあったと思うけど、やっぱりこのお仕事を始めてから、負けたくない、いちばんでありたいという気持ちが、むくむく大きくなってきたように思う。
「だからあなたは、いちばん好きな人を選んで。いちばん好きな人を、苦しめたぶんだけちゃんと幸せにして。誰に責められても、どんな障害があっても、たとえそれが……ほかの人から見たらどんなに最低の選択でも。あなたを苦しめ続けてきた、そんないらない理性なんか、早く捨ちゃえばいいんだ」