パーフェクト・インパーフェクト


さすがに駅までは送らせてほしいと彼に言われて、ここで断るのは子どもっぽくて嫌だったので、素直に従った。


無言の車内。

勝手にわたしのスマホとペアリングしたオーディオだけが、楽しそうに流行りのJポップを流し続けている。


ペアリングの履歴、消しておこうかなと思ったけれど、どうしてもできなかった。

彼の目の前でそれをするのはなんとなく気が引けて。

それに、ぬかりない彼のことだから、ほとぼりが冷めたころにそっとそうしておいてくれるかなと思ったんだ。


やがて駅のロータリーに侵入した車が時速0キロメートルになった。

シートベルトを外す。

ドアノブに手をかけたところで、右の手首をそっと掴まれた。


「……っ、なんですか」

「いや、ごめん、つい」


ずるいよ。
そんな顔をするなんて。


だけど、そうだね。

彼はきっと、わたしのことをちゃんと好きでいてくれたと思う。

たくさんの愛情をくれた。


その気持ちは、ぜんぜん疑っていないよ。


「……あのね。わたしはちゃんと、ずっと、幸せだったよ」


とても顔は見られなくて、背を向けながらこんなことを言うのは、最後だけど、最後だから、許してほしい。

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