パーフェクト・インパーフェクト


「なに飲む?」


正面に座る皆川さんがこちらにメニューを差し出してくれる。

お酒の名前がずらりと並んでいるので、戸惑っていると、あの硬い手ざわりの指先が長方形の右下を指さした。


「ソフトドリンクはここ」


感触はあんなに硬かったのに、こんなに美しい形をしているなんて。

第一関節から第二関節までの造りがわたしとはぜんぜん違っていて、見とれてしまった。

節々はしっかりしているのに、どこかしなやかさのあるライン。


「あ……でもみなさん、ビールですよね」

「飲みたいやつは勝手に飲むから気にしなくていいよ」


さすがに気にするよ!

リアとふたりだったら気兼ねなくオレンジジュースを頼むところだけど、わたし以外の5人が口々に「ビールで」と言っているなか、場違いにソフトドリンクなど頼みづらい。


ノンアルコールビールをお願いすると、皆川さんは一度だけ「それでいい?」と聞いてくれた。

気遣うような表情。
だけど決して無理強いはしないという顔。

ああ、本当に、優しい人なんだな。

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