パーフェクト・インパーフェクト
あのユカっぺとのリアルなラブストーリーが聞きたくてうずうずしたけど、弟さんはぜってえ口を割らねえってスタンスを1ミリも崩そうとしない。
ていうか本当に一言もしゃべらなくなった。
ものすごいダンマリだ。
ほんと、いったい、なにがあったんだ。
「あのころは寛人もユカもまだ駆け出しで、どっちかってーとただの高校生に近かったし」
アキさんがなつかしむように目を細める。
その瞳に彼らの歴史がそのまま映りこんでいるようで、まだお兄さんたちが高校生くらいだった“あのころ”のこと、そっと聞いてみたいような気持ちになってしまった。
「お互いにいろいろはじめてだったんだもんな?」
「マジで死ね。いっぺん死ね。おまえは死ね」
久しぶりにしゃべったと思えば物騒すぎるんですが。
ていうかお兄さん、包み隠さなさすぎじゃない?
そんなにわたしたちのこと信用して大丈夫?
ところではじめてって、具体的になんですか?
「こいつ、ユカのせいで蒼依ちゃんとこじれにこじれたから、トラウマがすげえんだよ」
ん? “あおい”? 誰だ?
と、スルーできずに咄嗟に思ったところで、リアと目が合った。
リアも顔にハテナを浮かべている。
そしてそのむこうで弟さんが本気の激怒の顔をしていて、もうめちゃくちゃコワイ。
まだなみなみとビールの入ったジョッキをそのまま兄貴にむかって投げつけてしまわないか、めちゃくちゃ恐怖。