パーフェクト・インパーフェクト


勝手にじんわりあたたかい気持ちにさえなっていたから、右側でリアがワルイ顔を浮かべていたことになんかぜんぜん気づかなかった。


「ほかのみなさんは恋人いないんですかぁ?」


放っておくとすぐにこういう話を始める!

たとえ本当に恋人がいたとして、そんなことをわたしたちなんかにバカ正直に教えてくれるわけがないじゃん。


いやでもアキさんならもしかして……と思ったのに、そのアキさんは、リアよりもっともっとワルイ顔を浮かべ、にやりと笑ったのだった。

さっきまで弟の恋愛を暴露してキャッキャしていたのと同じ人だとは思えない。


色っぽい大人の顔。

これは、女の子のことをよく知っている顔だ。


「いたら残念?」


薄々気づいていたけど、この人ってきっとものすごくモテながら生きてきたはずだよ。

この視線で、この言葉で、この声で、これまで何人の女の子を陥落させてきたんだろう。


バンドマンはチャラくない説、やっぱりいったん、保留。


「えーっ、すっごく残念です」


リアが挑発するように答える。

そうだ、こやつも数々の男を食っては、ブン投げてきた女なんだった。


「それってオレだけ? それとも洸介も、トシも?」

「アキさんはどうなんですか?」

「ん、なに?」

「あたしとアンちゃん、どっちがタイプですか?」


メチャクチャ一方的に巻き込まれ事故で、食べていた焼きおにぎりが口から飛び出るかと思った。たぶんちょっと出た。

あわてて吸いこむ。

ド正面にいる皆川さんに、こんなみっともない姿を見られるわけにはいかない。

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