パーフェクト・インパーフェクト
「あー」
へらりと、アキさんが急に力を抜いて笑う。
大人の男から、元通りの気のいいお兄ちゃんに変身したんだってわかった。
「ダメだ、オレの負け。どっちもかわいーから選べねーわ。イマドキの若い女の子ってこんなこえーの?」
最後の一文は瀬名さんにむけて。
その瀬名さんはアキさんに一瞥もくれず、たこわさをむぐむぐ食べながら「俺はアキがこわい」とどうでもよさそうに言った。
いまのは正直わたしもちょっとこわかった。
アキさんが本気を出したら、リアでさえコロリとやられちゃうんじゃないかって思った。
「つーか、オレは野郎の恋バナするより、リアちゃんと杏鈴ちゃんのを聞きてえんだけど」
質問にはロクに答えないまま上手に話を逸らしたな。
きっとアキさんは言葉を使うのがものすごくうまい人なんだ。
それは、もしかしたら数々の女を食ってはブン投げてきた経験のなかで得たものなのかもしれない。
これは、ただの妄想。
「ふたりはいま誰とつきあってんの?」
あまりにさらりと聞かれたんでびっくりしてしまった。
アキさんに感じる、近所のお兄ちゃんのような親近感みたいなもの、1ミリの壁も感じられないような近しい空気は、きっと誰もが容易に作れるものじゃない。
こういう質問を男性から女性へするのってもっとヤラシイものだと思っていたよ。
なんで、こんなにも嫌な感じがしないんだろう。
本当に不思議。