パーフェクト・インパーフェクト
「MV、もうほぼできてるから」
「え! いいんですかっ」
「うん。けっこういい感じ。トシがデータ持ってるから見せてもらったら」
瀬名さんがわたし越しに目くばせをするので、つられてそっちに目をやった。
そしたら、想像以上に、近い顔。
「ん?」と、微笑みながら言われる。
こんな至近距離も、「ん?」の一文字でやり過ごすあたりに、6歳年上を感じる。
コッチはべつに平気って顔を作るのに精いっぱいだ。
そんなの皆川さんのほうはまったく気にしていなさそうだけど。
気にしなくて、いいんだけど。
MVは瀬名さんの言うとおり、もうほぼ完成みたいだった。
自分の映像なのに見入っちゃった。
あんまりキレイで。儚くて。切なくて。
そう、この顔、どうしても気に入らなくて何回も撮り直したんだよね。
そのかいがあったなって思えるような出来でうれしい。
写真はたくさん撮ってもらってきたけど、こういう動画を撮ってもらうことってほとんどなかったから。
どきどきする。新鮮だな。
画面のなかにいる女の子は自分じゃないみたいに見える。
「めちゃくちゃいいでしょ?」
4分くらいの動画が終わるなり、スマホの画面を消しながら皆川さんが満足げに言った。
首がとれちゃうんじゃないかってくらいうなずいた。
だって、ほんとにめちゃくちゃよかった!