パーフェクト・インパーフェクト
こんな仕事をさせてもらえて本当に幸せだな。
この曲は一生の宝物になると思う。
どうしてももういちど見たくてお願いしたら、皆川さんは快く了承してくれた。
見るたびに、いい顔できたと満足する箇所とか、もう少しがんばれたと反省する箇所がわかって、3回もリピートしてしまった。
ナルシストだと思われているかもしれない。
ずっと小さな画面だけを食い入るように見ていたから、すぐ近くで顔を覗きこんでいるふたつの瞳に、ぜんぜん気づけなくて。
「ひっ」
目を上げたらほんのすぐ傍で視線がぶつかっておかしな声が出ちゃった。
皆川さんが少し体を離し、ゴメンと言いながら小さく笑う。
「すごい真剣に見るんだなと思って」
「あ、スマホ借りっぱなしですみません!」
あわてて返却すると、受けとる前に「もういいの?」と質問。
あと1回くらい見たかったけど、なんだかもう画面には集中できないような気がするから、いいですって答えた。
「きょういちばん目が輝いててびっくりした」
右側のポケットにスマホを入れながら皆川さんが言う。
「結局みんな飲んじゃって、ひとりだけしらふにさせてごめんな。つまんない時間もあったよな」
もし1秒でもつまらないという顔をしてしまっていたのなら、それは単にわたしが至らなかっただけだ。
きっと忙しいなかでわざわざ時間を作ってくれたのに、こんなふうに思わせてしまうなんてダメダメだな。
わたしに期待して、わたしを選んで、いっしょにお仕事をさせてくれた人たちなのに。
これは友達との飲み会じゃないんだから。
「そんなことないですっ。ほんとに、すごく楽しいです。いろいろと新鮮なお話も聞けたりして……」
必死でしゃべった。
優しい目がウンウンと聞いてくれている。