パーフェクト・インパーフェクト
だからこんなにもどきどきしてしまっているんだ。
相手が誰だからというわけじゃない。
それでもなにかを錯覚してしまうくらい、さっきからずっと頭のなかをぐるぐるしているのはただひとり。
デート、本気で、するのだろうか。
どこに行ってなにをするの?
なにを食べてなにを見るの?
どうやって行くの?
帰りはどうするの?
本当に、その日のうちに帰ってこられる?
「わーわーわー!!」
トイレがひとり用の個室タイプでよかった。
こんなところで奇行かまして、身バレしたら、リアが泥酔するどころの騒ぎじゃないよ。
熱を放出するためにここに来たのに、ムーディーなオレンジの照明はどんどん顔を火照らせていくから、ぜんぜん意味ないな。
いったん外に出よう。
夜風にあたって星を見上げよう。
そうして心を落ち着かせたら、なんでもない顔で、いたって平気って空気感で、クールに席に戻るんだ。
――と、意気込んだのもつかの間。
2時間ほど前にくぐったドアを逆行すると、いまいちばん顔を合わせてはいけない気がする人のうしろ姿らしきものが見えたので、本能的に、とっさに植木の陰に隠れてしまった。