君を好きになるって、はじめからわかってた。

 5分後。

「いた! 安井~俺が食って良いのってどれ?」

 来たな、岩泉! さぁ、あんたに結菜の半分食べさせてあげる。
 その代わり、後ろの後輩をどうにかして!
 
 私が心の中で訴えると、岩泉は結菜の食べ残しに狼狽えながらも後輩に気づいた。
 ただ一つ私の間違いは、このアホを呼んだこと。

「おっ、青柳じゃん! 1人なら、お前もこっちに座よ」
「じゃ、お邪魔します」

 彼は、満面の笑みで答えた。

「君、友達は良かったの?」
「ん~、いいと思う」
「そう」

 なんか聞いても無駄っぽい。
 諦めよう、視界に入れなきゃいいんだから。

「そういえばお前ら、いつの間に仲良くなったんだ?」

 岩泉が、さらりと質問する。

 はい?
 仲良く?
 誰と誰が?
 
「仲良いっていうか、俺の片想いっす」
「「「!!!!」」」

 私はイラっとしたけど、結菜と岩泉は赤面してる。
 そりゃそうだろうね、自分たちはなかなか言えないでいるから。

「ちょっと、そういうのやめてよね」
「これは俺の恋愛なんで」

 そう言った彼は余裕の表情を浮かべ、この前私が言った言葉を良いように使う。

「お前、よくそんな簡単に言えるな」
「簡単じゃないっすよ。ただ、安井先輩にはちゃんと知ってほしいんで」
「君ね……」

「それから一応言っとくけど、青柳愁人ね」
「別に名前なんて知らなくていいから」
「先輩が良くても俺はダメ。やっぱ好きなコには、名前で呼んで欲しいんだけど」

 ………………。

 ほら、見てみなよ。
 結菜も岩泉も思考回路が殺られてるよ。
 
「白ヤギさんと黒ヤギさんみたいでしょ?」

 えっ? お手紙食べた♪って歌のやつ?

「何それ」

 私は、思わず笑ってしまった。
 それに気を許したのか、岩泉が口を挟んむ。

「安井なんてアレだぞ。『安い窓か』ってな」

「………………」結菜も顔がひきつってる。
「………………」青柳くんは、絶対バカにしてるよ。
「………………」って、私がミスったみたいじゃない!
 
 何の仕打ちだよ! アホ和輝!
 久しぶりに中学時代に戻った感覚で、頭の中で叫んだ。

 そんなアホに助け船を出したのは彼だった。

「そうだキャプテン、今度の日曜って部活休みっすよね?」
「だな」
「四人でどっか行きません?」

「「はぁ!?」」

 私と結菜は声を合わせて立ち上がった。
 岩泉は、口にほうばった親子丼を吹き出してる。
 周りの注目を浴びたのは確実だけど、確認する勇気はなくて「汚ない」と岩泉を罵声しながら座った。

 助け船どころか、何言ってんの? おかしいよね?
 どの状況でそうなるわけ?
 さっきから、なんなのマジで!

「ムリ、ムリ、ムリ。ほんっとムリだから!」

 この状況を打破してくれたのは結菜だった。
 だろうね。
 さすが結菜だ、そんなデートみたいなことはできないよね。

「なんだ残念。じゃ、先輩一緒に行こうよ」
「はぁ!? なんでそうなるの?」

 その時だった。
 校内に昼休みの終わりを告げるチャイムが響き渡り、私たちの会話も強制的に終わる。
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