冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「わかりました」

 そう答えたものの、いきなり呼び方を変えるのは難しい。名前で呼ぶって、隆弘さんって呼べってこと?……いや、恋人でもないのにこれはないだろう。

「では、家では椿さんと呼ばせていただきます」

「ああ」


 理由があって変えるというのに、心の距離が縮んだような気がして嬉しかった。

――昼食を食べ終わると、椿さんは「片づけておきたい仕事がある」と言って、リビングから二つ隣の部屋に入った。私の部屋の隣で、彼は“書斎”と呼んでいた。

 私は片づけを終えた後、初めて自分の部屋に入った。

 
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