冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 椿さんの態度にムッとしたけれど、葵衣くんがいる手前、笑顔で自己紹介をした。


「ああ、この前電話で言ってたもんね! それで、この服は美緒さんに?」

「そうだ。これからバイトなのに、迷惑かけたな」

「ううん、まだ開店前だし大丈夫だよ。……そうだ! 美緒さん、姿見の前で合わせてみてよ」


 葵衣くんは、大きな紙袋を胸の前まで持ってきて、得意げに見せてきた。
 その笑顔も、仕草も、いちいち可愛くて癒される。


「わかりました、部屋に行ってきますね」

「あ、僕も一緒に行くー」

「あっ、ちょっと待って」


 葵衣くんは紙袋を持ってリビングを出て行ってしまった。急いで立ち上がって、葵衣くんのあとを追う。
 彼は迷わず私の部屋の扉を開けた。


 
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