冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 身を乗り出して、椿さんの首もとに手を回す。どうやってネクタイをはずせるのか、ということだけに必死で、自分がどんな体勢をとっているかなんて気にしていなかった。


「……お前、何してる」

 突然、椿さんに手首をつかまれた。顔をあげると、椿さんはとろんとした目で私を見ていた。


「ネクタイをはずそうと……」

「俺を、押し倒そうとしていたんじゃないのか?」

「えっ?」


 椿さんに言われて、初めて自分の体勢に気がついた。ネクタイをとるために、彼の身体に乗っかっていたのだ。
 身体の至るところが、椿さんの身体と密着している。


 
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