冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「わ、ごめんなさい! すぐにどきま――」
「――さすがの俺でも、理性を失うぞ」
離れようとしたけれど、腰に手を回されて身動きがとれない。
私の手首をつかんでいた手は、腕をなぞるようにあがっていく。大きくてごつごつした手は、私の顔をすっぽり包み込んだ。
「お酒に溺れた男は皆狼になる。覚えておくんだな……」
ゆっくりと、椿さんの顔が近づいてくる。どうしよう、このままだとキスをされてしまう!
酔っぱらっているし、力いっぱい抵抗すれば離れられるはず。それなのに、私は……私だけ時間が止まってしまったみたいに、動くことができなかった。
思わず目をつぶり、その瞬間に備える。