冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「…………あれ?」
しばらく待っても、なにも起こらない。不思議に思って目を開けると、そこには椿さんの健やかな寝顔があった。
身体をねじってみると、椿さんの両手は力なくソファの上に落ちた。
静かに彼から離れ、毛布を肩までかけた後、逃げるようにリビングから飛び出す。
部屋に入るとすぐに布団を頭までかぶり、「椿さんのバカ!!!!!!!!!!」と叫んだ。
バカなのは私のほうだ。そんなことはわかっている。酔っぱらった彼の行動に勝手に振り回されただけ。不用心に近寄った私が悪い。
ちゃんとわかっているのに、心臓のばくばくが止まらなくて苦しい。キスされなくて、ほっとしたようで、残念に思っているのが悔しい。