冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 二人ともグラスを持って、カチンと音を鳴らす。ひと口飲んだだけで、甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。


「それで、副社長にかんするお話とはなんでしょうか」

「もう本題にいっちゃうの? もっとお酒を味わいながら、ゆっくり話そうよ」

「……いえ、早く聞きたいので」


 横並びに座っているせいでやたらと距離が近い。少しでも身体を動かせば、肩が触れてしまいそうだ。

 中垣さんは、身体全体を私に向けている。私は向かい合うことができなくて、まっすぐに座ったまま。


「前々から地味な子って思っていたけど、ほんとにつまんないねぇ」

 刺のある言葉を、世間話をするようにさらりと口にした。陽気な話し方だったから、一瞬何を言われたのかわからなかったほどだ。

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