冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「一緒に入るだなんて、絶対無理です」
「どうしてだ?」
「どうしてって……言わないとわかりませんか?」
「ああ、さっぱりな」
本当はわかっているくせに、言わせようとする彼は意地悪だ。まぁ、そんなところも、好きなのだから、仕方ない。
「そりゃあ、はだかをみられるのが恥ずかしいからで……」
ぽそぽそと理由を話していたとき、部屋に来客を知らせるチャイムが響き渡った。
「私、出てきますね」
「頼む」
インターホンのカメラで確認すると、ひとりの男性がたっていた。私服姿で、宅配などの業者ではなさそうだ。
とりあえず受話器をとって「はい」と答えてみると、男性はしばらく沈黙していた。もしかして、部屋を間違えたのだろうか。
「すみません、椿の部屋で合っていますか?」
「はい、そうですが」
「それならよかった。私は隆弘の兄の浩介です。中にいれてもらえるかな」
「お、お兄さんですか?」