冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 驚いて大きな声を出すと、椿さんがすぐにやってきて、
カメラを確認した。


「兄さんか、あがってくれ」と話すと、ロック解除ボタンを押した。


「なんなんだ? 連絡もなくやってくるなんて」

 椿さんがこんなふうに怒るのは珍しい。相手が兄だからこそだろうか。


「わたし、急いで片付けますね」

「悪いな。あと、お前のことも紹介したいから、ここにいてくれ」

「わかりました」


 紹介、という言葉を聞いて心が跳ねた。恋人と紹介してくれるってことだよね? 家政婦として、ではないよね。
 どちらにせよ緊張する。身支度を整える時間がないのが悔やまれた。


 ほどなくして、玄関のインターホンがなった。椿さんが、お兄さんを迎え入れた。


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