冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「親父が……そうか……」
「親父がね、ベッドに横になりながら、消えそうな声でこう呟いたんだ。俺の夢は、息子"たち"と一緒に働くことだった、って」
「親父の夢、か」
「俺は、死ぬ前に親父の夢を叶えてあげたいんだ。勝手なことを言っているのは百も承知だよ。隆弘、帰ってきてくれ」
「でも、そんなことをすれば、葵衣を一人にさせてしまう」
どうして、ここで弟の名前がでてくるのか不思議だった。でも、口を挟めるわけもなく、黙って二人の会話を聞いていた。
……お兄さんは、なぜ私を同席させたのだろう。
「葵衣のことは、ちゃんとフォローするよ」
「そんな、簡単なことじゃないだろう?……ごめん、兄さん。少し時間をくれないか」