冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「お前は本当に、最高の彼女だよ」
椿さんの肩に頭を乗せると、椿さんは私の肩に手を回した。
肩から腕を優しくさすられて、心が落ち着く。
「椿さん」
「どうした?」
「ご家族のこと、聞いてもいいですか……?」
もしかしたら、拒絶されるかもしれないけれど。
私は椿さんのことを、もっと知りたかった。
「ああ、もちろんだ。お前が知りたいことは、なんでも教えるよ」
そう話したあと、椿さんは一拍置いて、家族について話してくれた。
「俺の田舎は、ここから車で一時間半ほどのところにある。自然に囲まれた、いい場所だ。親父は建築関係の会社を営んでいる。三百人程度の会社だが、田舎では割と有名だった。母さんとはお見合いで知り合い、結婚して兄さんと俺が生まれた。両親はお見合いだったが、お互い想い合っていて、幸せそうだった。――少なくとも、子供の俺にはそうみえた」