冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「キッチンから出るな」と言われていたため、借金取りの顔も見たことがない。
 もし、このタイミングで借金取りが現れたらどうしたらいいんだろう。とても母さん一人の手には負えないだろうし。

 まあ、もうすぐ父さんも戻ってくるし、心配しなくても大丈夫か――と、楽観的に考えていた頃だった。


「おばちゃん、いい加減貸した金返せやあ!」

 店内から耳を塞ぎたくなるような怒鳴り声と、何かが倒れる大きな音が聞こえたのは。


「今は営業中です。迷惑行為はやめてください!」

 母さんは勇敢に借金取りに立ち向かっていた。キッチンにまで聞こえるほど声を張り上げて、店を守ろうとしている。


 
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