冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「泣いたらダメだよ! メイクがとれちゃうから」

「そうだね、遥くん。葵衣くんも、本当にありがとう」


「どういたしまして! じゃあ、仕事も終わったことだし、僕たちは帰るね」

「うん、またね!」


 颯爽と帰る二人の背中を見送った。掛け時計を確認すると、もう四時前だ。

 
 椿さんは、ドレス姿の私を見てどんな反応をするだろうか。
 前に買ってもらった部屋着を着た時は、全くほめてくれなかったな。

 
 数か月前のことなのに、もっと昔のことのように思えるのはなぜだろう。
 この生活が思い出になりつつあるからだろうか。
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