冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「椿さん、恥ずかしいです……」


「頬を桃色に染めるその姿も、可愛いですね。そんな素敵なあなたを、とびきり素敵な世界へとお連れしましょう」


 椿さんは私の手をとって、玄関へと向かった。
 玄関には見慣れないパンプスがある。今日のドレスに似合う、黒のパンプスだ。


「靴まで用意してくれてる……」

「履きなれていないだろうから、靴擦れするかもしれないな。痛くなったらいえよ」

「はい」


 いつの間にか、椿さんはいつもの口調に戻っていた。
 ほっとしたような、ちょっと惜しいような気持ちだ。


 椿さんと手を繋いで、マンションの一階まで降りる。エントランスには、すでに彼の車が用意されていた。
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